派遣は契約書が命!! 「何でも屋」と解釈できる曖昧記述は早急に書き直して貰うべき理由

派遣の仕事が決まると契約書が発行される。

契約自体は口約束でも成立するが、まともな派遣会社のまともな派遣の仕事については、契約期間ごとに業務内容や待遇等の条件などが明記された契約書が発行されるのが通常。

これ自体は「言った」「言わない」を避けるために好ましいことである。

しかし、日本人は世界の基準からすると有り得ないくらいに曖昧な契約書で済ましてしまうのだという。派遣の場合も例に漏れず、日本基準の“曖昧契約書”しか見たことがない。

“曖昧契約書”では口約束と大差がない

欧米など世界基準の契約書では「こういったことが起きたらこういう対応をする」と、契約後に起こり得る様々なトラブルについて、その後の対応も含めて契約書に具体的に明記するのが普通。

ところが、日本の派遣会社が発行する“曖昧契約書”では「問題が起きた場合は、派遣会社と派遣先と派遣社員の3方で話し合いましょう」くらいしか書かれていない。

実際、話合ってもどうにもならない場合も多いのだが、A4の紙に小さな文字でぎっしり書かれていても、本当にその程度の曖昧なことしか書かれていないのだ。

モメゴトが起きた時点でギスギスしているのだから、話し合っても妥協案で中途半端にやり過ごすか、誰かが折れるしかないので契約書の意味がないだろう!! というのが世界の感覚。世界基準の契約書では、モメゴトを防ぐために具体的な対応策まで規定しているのだ。

そんな日本の派遣会社が発行する“曖昧契約書”を片手に仕事をしないとならないのが日本の派遣社員なのだが、最低限、ここだけは細かく確認すべきという項目を挙げていく。

業務内容の“何でも屋”的な記述は要修正依頼!!

まず、超大前提として派遣社員は何でも屋ではない。ピンポイントに与えられた業務範囲、契約範囲で、派遣法に基づいて業務をする。

しかし、多くの派遣会社というか、今まで見てきた100社くらいの派遣会社の全部と言っていいくらい多くの派遣会社は、契約書の業務内容が適当過ぎる書き方になっていた。

例えば、募集時の求人画面では

・〇〇の資料作成
・△△の制作、進行管理
・××の入力、管理

となっていたとしても、なぜか契約書になると

・PC作業、〇〇業務全般

と“何でも屋”になってしまう場合が本当に多いのだ。どうしてこうなった…と驚くことが多い。これが日本の派遣会社の営業マンの仕事ぶりなのである。

“何でも屋”だととあらゆる面で不利になる

いくら日本の契約書全般が曖昧だとしても、業務内容がどうにでも解釈できる内容では、その後のあらゆる交渉事が不利になってしまう。

求人画面や紹介の初期段階を知っている派遣社員本人は当初の業務内容を把握しているとしても、何かトラブルがあって労働基準監督署など外部の機関に相談しようとした場合、実際の契約書の業務内容が“何でも屋”という記述である以上、客観的には“何でも屋”の契約になってしまうわけである。

言うまでもなく、事前の求人仮面よりも実際の契約書の記載内容が優先されるので、外部の機関に助けを求めることもしづらくなってしまうのだ。

曖昧な記述にすることで派遣会社は有利になるのだ。もはや、わざと曖昧な契約書を作っているのではないかと思う。

契約業務は実際の内容に書き換えて貰うことを推奨

業務内容の欄を曖昧に作る派遣会社は、もはや確信犯のようにも思えてしまうわけだが、初回の契約時はともかくとして、2回目以降の契約更新時は実際の業務内容に書き換えて貰うことをオススメする。

その理由としては前述の通り。曖昧な記述のままだと、当初の話にない業務を頼まれても断ることができず、何でも屋として働かないとならないからだ。

「〇〇業務全般」や「△△業務に関すること一切」などと記述する派遣会社の気がしれないが、そんな契約書の書き方は世界では有り得ないし、派遣社員本人に一方的に負荷がかかる書き方なので見逃さないようにしよう。

まとめ 曖昧契約書は大体は営業担当者の怠惰による

大体の場合、契約書の内容を記述しているのは派遣先企業と直接やりとりしている営業担当者である。

この営業担当者が適当なヤツだと十中八九で曖昧契約書が出来上がってしまうのだ。

指揮命令者の氏名を間違っていたこともあるし、契約期間や「更新の見込み有無」などの項目も、あとあと失業給付に関わって来たりもする。

契約書は派遣で働く上で非常に大切なもの。少なくとも、日々の業務に関わる契約業務について「これはどういうことですか?」と納得するまで煮詰めるようにしよう。

「〇〇業務全般」なんて派遣社員レベルじゃ有り得ないので、こんな記述の仕方は法律で罰則ありの禁止にすればいいのにと思う。