派遣社員の努力や成果は「派遣会社」のものになる仕組みを理解しよう
よく派遣労働は搾取労働だと言われる。
毎月の給料から派遣会社が平均して40%近く搾取するというのは、今どきの大手派遣会社ならば、自社サイトなどで中間マージンを公開していることが多いのでよく知られていることではある。
だが、派遣会社の搾取というのは目に見えないものも多い。
給料の搾取だけでなく努力や成果まで搾取される
昨今のビジネスにおいては、レールを敷いた側、つまり仕組みを作った側がボロ儲けできるという構図がある。
スマホが普及すれば、スマホのOSを開発したり、課金やライセンスの仕組みを作った会社がボロ儲けできる。PCやゲーム機なんかでも同じことが言える。最初にレールを敷いた側が儲けられるのだ。
これを派遣労働に置き換えて考えてみるとわかりやすい。派遣労働というのは派遣会社が敷いたレールの上を走っていく労働スタイルなのだ。
3カ月ごとの途中駅と3年で終着駅へ
いわゆる長期派遣の仕事というのは、基本的に3カ月更新であることが多い。それ以上の期間で契約できる派遣というのはかなり例外。
鉄道に例えれば、3カ月ごとに契約更新有無という途中駅がある路線と言える。
この契約更新は派遣社員本人の努力や成果によって、「更新あり」になる可能性をそれなりに高めることはできるが、派遣先の都合によっては、それがどんな理由でも白紙にすることができる。
正社員だと解雇するには相応の社会的理由が必要だが、派遣の場合にほんとに何の理由も必要ない。気に入らない、なんとなく・・・でも通ってしまう。なぜなら、元々、期間に区切られた契約だからである。
そして、この「派遣」という鉄道路線は最長3年間だけ乗ることができる。法律でそれ以上はレールを伸ばしてはいけないことになっているからだ。3年経ったら下車するのが絶対的なルールなのである。
下車したあとは別の派遣社員を乗せるだけ
派遣で働くならば、3年という終着駅に着いたあとのことも、乗車前にぜひ知っておきたいところ。
派遣社員本人にコントロールできない運の良さなどによる例外はあるにしても、現状の日本国の派遣周りの事情だと、3年経過後は本人の努力や成果に関わらずに下車することになる。すなわち退職となるケースが平均以上、いや、感覚的には8割か9割以上なのだ。
そのあと、派遣会社と派遣先企業とどうするかというと、あなたの努力や成果のおかげで、こんなやりとりが行われるはず。
派遣先「また〇〇さん(退職したあなた)みたいな、良い人材の紹介お願いししますね」
派遣会社「よろこんで!」
というような。派遣社員の努力や成果はことごとく、派遣会社に搾取されてしまう。なぜなら、冒頭のように派遣労働は派遣会社が敷いたレールに過ぎないからである。
まとめ あなたの派遣労働で評価されるのは派遣会社
通勤だろうと旅行だろうと、普通は電車に乗る前に目的地は確認するはず。
それが派遣となると、なぜだか目的地を確認しないまま乗車する人が多い気がする。自由気ままな途中下車の旅ならそれでもよいが、派遣労働の場合だとあとで困ったことになりかねない。派遣というレールの行き先を知っておく必要がある。
特に派遣に限ったことではなく、世の中の仕組み全般においては、その仕組みを作った側が得するようになっている。派遣の場合で言うと、給料などわかりやすい部分だけでなく、見えない部分での搾取も大きいことを知っておきたい。