派遣は日本人から生きがいを根こそぎ搾取する悪の仕組みである科学的根拠
20年くらい前だろうか。
日本に人材派遣の仕組みが蔓延るようになった時期と同じ頃、無気力状態に陥って東南アジアなど物価の安い国に逃げ込むように“沈没”する若者が増えたという。
2024年現在においては終身雇用は大手優良企業や公務員くらいにしか保証されないものになっていると思うものの、そもそも派遣は数か月後の雇用の保証すらない。
派遣に労働のやりがいを見出すのは一般的に非常に困難、いや、不可能であると言い切ることができる。
従来型の日本人の“人生モデル”とは無縁な派遣暮らし
今現役世代の20~40歳台くらいの人の親にあたる世代においては、学校を卒業したら当然に企業に就職するなり公務員になるなりして20代で結婚、そして30歳前後にはマイホームを買うというのが王道的な“人生モデル”であった。
現在でも同じような人生モデルを歩む人はいるだろうが、20代や30代の人で派遣就業してしまった人の場合、100%と言える確率でかつての人生モデルとはかけ離れた人生を歩むしかなくなってしまう。
かつての日本人の人生モデルを崩壊させた派遣
7割以上が無宗教だとされる日本人にとって、歩むべき人生モデルが示されないというのは、荒野に放たれた子羊のようなものである。
強いものの餌食になってしまうのは時間の問題だ。
もちろん例外はあるが、20代を派遣で過ごすと多くの場合は結婚や家庭を持ちことは遠い夢になる。
30代を派遣の繰り返しで過ごすと自由時間は増えるものの、貯蓄は増えずに住宅ローンを組むことも難しいのでマイホームを買うことは不可能だ。夢ですらなくなってしまう。
「正社員が見つかるまでの繋ぎ」は幻想になる
派遣を切られてもまた別の派遣を紹介して貰えばいいと安易に考える人がいる。
しかし、30代後半や40代に差し掛かると「正社員が見つかるまでの繋ぎ」という典型的なその場しのぎの言い訳は周囲にも自分にも通用しなくなる。
もはや派遣が本業になってしまう時だ。
まともな企業で正社員として30代後半や40代以上の人を採用するのは、マネージャー経験があったり、大きなプロジェクトを牽引していたような経歴を持っていることに価値を感じた場合が多い。
派遣と変わらないような不安定な企業で誰でもできるスキル不要の仕事なら、必ずしもそうとも限らないだろうが、それが現実なのである、
10年20年と時間をかけて、じわじわと生きがいを根こそぎ搾取していくのが人材派遣業の恐ろしさだ。