派遣社員も正社員や契約社員などと同様に有給休暇の制度がある。

知っての通り、有給は法律で保証された労働者が理由を問わずに自由に取得できるのが原則。労働者の大切な権利なので、有給を取得するために高いハードルがあったり、自由に使わせないような雰囲気や言動があると法律に触れる場合がある。

派遣社員の有給は派遣会社ごとに異なる

有給は法律で決められた制度ではあるが、有給の権利が発生するタイミングは派遣会社ごとに異なる。

平均的には勤務6カ月経過後に法律で決められた最低限の日数である10日分が付与されることが多いものの、派遣会社によっては勤務初日から付与される場合もある。大切な労働者の権利であるにも関わらず、淡泊な(というか仕事をしていない)営業マンだと、有給について細かな説明をしない場合もあるので、自分が働いている派遣会社の有給がどのような仕組みになっているかわからない場合はマイページなどで確認してみよう。

営業マンに説明を求めたところで、驚くべきことに自社の有給システムすら知らない営業マンもいるので、聞くよりも自分で調べた方がてっとり早いことが多い。

有給の使用ルールは派遣先ごとに異なる

派遣会社で有給の権利が発生していることが確認できたら、実際に使うためのハードルとして派遣先での申請フローを確認する必要がある。

派遣会社に雇用されていて、有給取得時の給料も派遣会社が払うのだから、派遣先はあまり関係ないはずなものの、派遣先で適切に許可を取らないと「勝手に有給で休みやがって」などとイチャモンを付けられるケースが多いので事前に確認するに越したことがない。

平均的には指揮命令者に口頭などで確認して、チームのメーリングリストで連絡したり、スケジューラーなどに有給で休むという登録をするなどの場合が多い。

お堅い派遣先だと3人くらいに事前確認して、その後にメーリングリストとスケジューラーに登録して・・・などと、有給という法律で義務付けられた権利を使うだけなのに、やたらと面倒なこともあるので注意。直前だと承認が得られなかったりするので、余裕を持って申請方法などを確認しておくとよい。

本当は派遣会社に雇用されているのだから、派遣会社が派遣先に有給の許可を取るなり手続きするのが自然に思えるが、派遣会社は「自分で派遣先で相談するなり調整してくれ」という淡泊なスタンスのことが通常。

自分で相談して許可をとったところで、連続で取るなとか文句を言ってくる派遣会社もあるが、法律で決められた権利なのに無視して構わない。

契約期間内に使うのが大原則、持ち越しは非推奨

派遣社員の有給日数は派遣会社側で管理されている。

つまり、A社という派遣先で有給を使い切らなくても、同じ派遣会社である場合は次のB社でも余った有給日数を使える仕組みになっていることが多い。

しかし、某大手派遣会社の場合をはじめ、平均的には「間が31日(1カ月)以内」などと、非現実的なルールが勝手に作られていることが多い。

隙間なく同じ派遣会社で働けるなら良いが、そんな保証はどこにもなく、1カ月以上開いたり、別の派遣会社を使ったり、派遣以外の仕事で働く場合は有給が消滅するので要注意だ。

有給持越しの制度は一見すると派遣社員へのサービスのように思えるが、実際は派遣会社に都合がいいだけで、有給を無理して使わせずに消滅させたいがために存在しているようにも思える。

有給を取らせてくれない場合の対処法

有給の取得は法律で決められた労働者の権利なので、自由に理由を問わずに取得できるのが原則。

派遣社員の場合は雇用元の派遣会社と派遣先に申請や許可を取るという面倒臭さがあるが、どちらかというと派遣先がブラックな場合は派遣先での許可を取る方が難易度が高いだろう。

会社側には業務上の都合などで有給取得日をずらして貰うということは認められているものの、補助的で一時的な労働力である派遣社員が数日休んだ程度で、会社の業務に大きな影響が出るとは通常は考えにくい。

数日程度の有給使用を拒まれるくらいに重要な労働力として派遣先に認識されているなら、正社員にオファーして貰うなどの交渉を派遣会社にして貰うのがよい。有給を取らせてくれない派遣先は派遣社員を都合のいいコマとして考えていないのだ。

まとめ　派遣社員の有給は早めに全部使い切るのが大原則

有給は用事がある時や旅行に行きたい時などはもちろん、なんとなく休みたい時や体調不良などでも、理由を問わずに使える便利な制度。

しかし、派遣社員のは場合は契約がいつ終了になるかわからないため、有給の権利が発生していたら、なるべき早めで今現在の派遣先での契約期間内に使い切るのが大原則と覚えておこう。使うタイミングを間違えば、せっかくの権利が消滅してしまう場合もある。

有給の給料は派遣会社が払う金額だが、元はと言えば自分が働いて派遣会社に中間マージンとして搾取された金額に他ならない。自分が働いて稼いだ金額なので、消滅させることだけは絶対に避けなくてならず、有給は積極的にきっちり使い切ろう。