派遣社員こそ加入を検討すべきな「就業不能保険」の必要性について

雇用が不安定な派遣社員は単に収入が増減するというだけではなく、公務員や長期雇用の正社員と比べて、病気やケガなどで長期間働けない場合など、身体に万が一にのことがあった場合の社会的な補償が非常に希薄なものとなっているのはご存じだろうか。

そこで検討すべきなのが就業不能保険というものへの加入である。

そもそも就業不能保険とは

自分が亡くなった時に備えて加入する生命保険や、入院や手術に備えて加入する医療保険などと同じく、個人が自由意思によって加入する保険である。例として挙げたが、イメージとしては医療保険に近いものとも言える。

病気やケガによって数か月以上の長期間に渡って入院したり、医師の指示で自宅療養になった時や、障害を持った時などに月額いくらという単位で支払われる保険が祝儀用不能保険である。

よって、派遣切りなど契約終了に伴って就業不能になったり、応募しても仕事が紹介されなくて就業不能というのは、この保険でカバーする範囲ではない。

あくまでも医師や公的な判断による心身状態によって仕事をすることができない場合に支払われる保険である。



派遣社員は万が一の場合でも社会手金保証が希薄である

派遣社員というか、主に派遣での就業を繰り返すスタイルで仕事をしている人に当てはまる事象である。

一般的に公務員や正社員は病気やケガ、障害などで働けなくなったとしても長期間に渡って傷害手当金などが支払われる仕組みがある。

よく病気療養のために数か月や1年以上に渡って会社を休職しながらも在籍している人がいるが、その場合は健康保険組合から月額いくらという単位で手当が支給されているのが一般的である。

ところが、派遣社員が病気やケガなどで長期間に渡って働けなくなった場合は話が別。

1年以上その派遣先で勤務しているなど一定の条件を満たせば、正社員などと同様に傷害手当金の対象になる場合もあるが、初回契約が1か月でその後も3か月ごとの契約で働くのが一般的である派遣社員は、そもそも1年以上に渡って同じ職場に在籍できるのことは限定的なケースである。

病気で休みがちになると派遣切りされてしまう現実

病気などで休みがちになったり、通院で遅刻や早退を繰り返している時点で派遣切りの対象になったりするのが派遣社員の実情である。

筆者は過去にとある病気になって医者の指示で1週間の療養のため、派遣先を事前許可の上で休んだことがあった。

それまでは1度の欠勤も早退などもなかったのに、正当な理由でたった1週間休んだだけで次回更新はなかった。東証プライムに上場している大手企業でさえ、こんな対応にされるのが派遣社員の実情なのだ。

派遣社員でも傷害手当金の対象になることは制度的にはできるし、実際に対象になっている人も全国には多くいることだと思うが、手厚い社会保障のある公務員や正社員に比べると、相当に限定的なケースになると考えなくてはならない。

雇用元の派遣会社にしても、通常は病気がちで休みがちな人間には契約満了を機に二度と仕事を紹介する気などないと考えるのが妥当だろう。

国民年金の障害基礎年金は月額たった6~8万円のみ

仮に障害を持った場合、その等級にもよるが国民年金の場合に貰える障害基礎年金は月額たった6~8万円程度である。

会社に加入する厚生年金の場合は上乗せさせるが、派遣社員の場合は派遣切りや失業で通年で加入できるとは限らないため、厚生年金に加入していない時に障害を持った場合は上記の金額しか期待できないことになる。

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また、障害基礎年金は誰で貰えるわけではなく、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが必要なので、失業中などで払うのが難しい場合は少なくとも年金事務所や役所の年金窓口で免除申請を出しておこう。

就業不能保険は自営業やフリーランスにも勧められる

今回取り上げた就業不能保険は、一般的に公務員や正社員などよりも自営業者やフリーランスで仕事をしている人に特に勧められる保険である。

会社で社会保険に長期間加入している場合は傷害手当金の対象になるし、障害を持つ体になったとしても厚生年金の障害年金も貰えるものの、自営業者やフリーランスの場合はそれらがないからである。

同様にそれは失業中の「元・派遣社員」に言えることである。

就業不能保険に加入していれば、手厚い補償のない立場であったとしても最低限の生活は維持できることが期待できる。

就業不能保険の保険料などの目安

年齢や個別の生活スタイルなどにもよるが、30~40歳くらいの場合、月2~3千円前後の保険料で月額10万円の支払いを受けることができる。

一般的な医療保険などと同じく支払金額によって保険料は変わる。

傷害手当金のある公務員や正社員の場合、障害手当金が貰える期間があるため、その期間は支払金額を低くすることもできて保険料を安くすることもできるが、派遣社員の場合は支配金額を優先する設定の方がよいだろう。

派遣社員にこそ重要な保険であると言える

就業可能保険は雇用が不安定で社会的な補償も希薄な派遣社員にこそ加入を検討したい保険である。

持病がある方など、日ごろから万が一に備えておきたいと考える人は検討しておきたい保険であると言えるだろう。