とある大手派遣会社と某大手企業が犯したパワハラ事件の隠蔽の流れ

派遣業界で最大手の一角にある誰でも知っている大手派遣会社と、これまた日本人なら誰でも知っている大抵の家庭にその会社の製品があるような大手派遣先企業で起きたパワハラ隠蔽の仕組みを紹介してみよう。

企業名については読者の想像に任せるが、どこの大手派遣会社や大手の派遣先でも、ごく一般的に起こり得ることであると認識頂ければと思う。

派遣先企業は人事責任を回避するために派遣を使う

一般論として派遣先企業が直接雇用ではなく、派遣会社を通して労働力を確保するのは、それ相応のメリットがあるからである。

複数のメリットがあるとしても、特に重要なのは直接雇用に付きまとう諸々の人事責任を回避できるということだ。

これは極論を言えば、人を人として扱わなくても罰則を受けなくて済むということである。

結局、派遣のシステムは誰も責任を負わない

派遣法においては派遣会社は雇用における責任を持ち、派遣先企業は労働を提供する責任を持つことになっている。

その通りであれば直雇用と同じように物事がスムーズに進むが、実際にはトラブルが起きても派遣会社も派遣先も責任を持たなくて済むような仕組みになっているのだ。

パワハラ行為を受けやすい派遣社員

派遣先で立場の弱い派遣社員は、常にパワーハラスメント(パワハラ)をはじめとしたハラスメント行為の犠牲に合う危険と隣り合わせだ。

パワハラにも色々あるが、近年は法律で厳しく禁止されている行為だ。

例えば、以下のようなケースはパワハラに

一度も教えて貰っていない派遣先独自の業務をやらされて「なぜ出来ないんだ!」と叱責される。

仕事上のミスなどについて、複数人が参加している会議などの場において不必要に叱責する。

どこからがパワハラになるかというのは線引きは難しいが、立場を利用して指導の範囲を超える必要以上の叱責などを行うとパワハラと判断される場合が多い。

派遣先でパワハラが起きても派遣会社は言い逃れする

では、実際に派遣先業でパワハラを受けた場合、雇用元である派遣会社はどのような対応をするのか実例を挙げてみよう。

派遣会社と言っても様々なレベルがあるが、この例で取り上げるのは大手に分類される派遣会社であり、派遣会社の平均よりかなり良い対応をする派遣会社であることを補足しておく。

基本事項として、派遣会社は派遣法やパワハラ防止法などの法律を犯したりして、国や行政等から指導されることを一般的に好まない。

いい加減な広告記事ばかり出している派遣会社だから意外に思うことだろうが、実際にトラブルが起きると意外にも「事なかれ主義」なのである。

よくよく考えればわかるが、派遣会社は派遣労働者をロボットのように派遣先に送り込んでマージンを貪り取るのが仕事だから、不要な対応で手間がかかることを嫌うのだ。

そのため、派遣先企業でパワハラ事件が発生して派遣会社に相談したとしても、パワハラとして処理されることは少ない。

せいぜい改善に向けて派遣先に相談してくれたり、自己都合退職にならないように有利に退職手続きをしてくれる程度のことである。

決してパワハラ事件として“お客様”である派遣先に強く指導したりすることはないのが一般的だ。

ちなみに、その場合の退職理由はパワハラではなくて、雇用元である派遣会社がパワハラをしたわけではないからと、通常の契約満了として扱われたりするのだ。

これが冒頭の“人事責任を回避できる”という実例である。

この旨味を知った派遣先は状況を改善することなく同じことをずっと繰り返すため、派遣で働く先は相当に注意しなくてはないのは言うまでもない。