競合情報を知ってる派遣社員を“都合のいい時だけ人間扱い”する二重構造の派遣先

派遣社員というのは、派遣先に都合のいい時だけは人間扱いされる。

競合他社の内部事情を知っていることがわかると身を乗り出してくる一方で、契約期間満了時には秘密保持契約を結ばせる。欲しい情報は吸い上げ、守りたい情報は封じ込める。

この二重構造こそ、派遣という働き方の歪みを鮮烈に表している。今回はそんな茶番劇を覗いてみよう。

“歩くUSBメモリ”としての派遣社員

短期間で業界内を渡り歩く派遣社員は、競合他社の内部情報を自然と抱えている。運営体制、ツール、オフィスの雰囲気など、どれも派遣社員にとっては普通の情報だが、企業によっては喉から手が出るほど欲しい“重要な情報”らしい。

会話例

正社員「前の派遣先って、どんなツール使ってた?」
派遣社員「え、〇〇ですけど…」
正社員「いやいや、もっと詳しく。どのベンダー? どのプラン?」
派遣社員「……業務に必要ですか?」
正社員「まあ、他社のことも知っておいて損はないからね」

この“損はないからね”の一言に、企業の本音がすべて詰まっている。

倫理観がオプションの企業たち

急な業務打ち合わせを装い、定時間際に個室へ呼び出す派遣先がある。聞きたいのは業務ではなく競合の内部事情。

新プロジェクト参加の条件として、こうした競合の機密情報を求めるケースがある。倫理観は標準装備ではなく、どうやら別売りらしい。

会話例

正社員「新しいプロジェクト、あなたの経験が重要でね」
派遣社員「ありがとうございます」
正社員「ところで、前の派遣先ってどんな体制だった?」
派遣社員「えっと…」
正社員「いや、別に大したことじゃないよ。ちょっと教えてくれればいいから」

“ちょっと”と言いながら、聞いてくるのは明らかに“ちょっと”ではない。 しかも、こちらが濁すと、「協力的じゃないね」 と、まるでこちらが悪いかのような空気を出してくる。

守秘義務という名の一方通行

情報統制に気を使っている派遣先は、契約満了時に派遣社員に誓約書を書かせる。

競合他社の情報は欲しがるくせに、自社の情報は絶対に漏らすなという態度。短期間で使い捨てにしておいて、さすがに都合が良すぎる。

会話例

正社員「こちら、退職時の誓約書です。業務で知り得た情報は一切口外しないように」
派遣社員「わかりました」
正社員「もちろん、競合他社にウチの情報を話したら大問題ですからね」
派遣社員「(いや、あなたたち、ついこの前まで競合の情報聞いてきましたよね…?)」

心の中でツッコミを入れながら、黙ってサインするという選択肢しかない。この瞬間、派遣社員は人間ではない存在へと再び切り替えられる。

二重構造の茶番を笑い飛ばす力

派遣から情報を引き出そうとする企業も、派遣に沈黙を強いる企業も、結局は同じ自分本位の論理で動いている。

その茶番に真面目に付き合う必要はない。見抜き、距離を取り、淡々と自分のキャリアを積み重ねていけばいい。企業の都合に振り回される世界の中で、自分の価値だけは自分で守ることができる。

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