【実例あり】離職票の離職理由に異議を申し立てる方法とその後の流れを解説

離職票の離職理由には大きく分けて会社都合と自己都合がある。

失業給付の給付条件に大きく関わるが、同時に会社側にとっても国などから受け取る助成金に関わるので、会社都合のはずが自己都合にされるトラブルが起きる場合がある。

離職理由は最終的にはハローワークの判断によって決まるので、会社側が決めた離職理由がそのまま採用されるわけではなく、求職者側が会社が書いた離職理由に異議を申し立てることもできる。

意外と異議を申し立てた実例についてはネット上の情報を探してもみつからないので、ここでは実際に異議を申し立てた際の流れや、どのくらい時間がかかるのかなどを実例を踏まえて解説してみたい。

ハローワークの窓口に異議を申し立てる

会社側が記入した離職理由が納得いかない場合、居住地の管轄ハローワークに異議を申し立てることになる。異議申し立てでよくあるのは、会社都合的な離職であったはずなのに自己都合にされた場合だろう。

異議を申し立てるには窓口に離職票を持参する。異議を申し立てる根拠となる書類やメールのコピーなどがあると良い。

会社側が書いた離職理由を覆すこと自体が困難だが、何も証拠がない場合は「言った、言わない」になり、離職理由を覆すのが相当困難なると思った方がよい。

ハローワークの受付で「離職票に異議を申したい」と告げれば、雇用保険の窓口に取り次いでくれる。

離職票に異議を申し立てるくらいだから、本人は熱量がかなり高まっているとおもうが、ハローワークや担当者にもよるものの、基本的に彼らは「お役所仕事」なので、人間的な情緒などには期待しないほうがよい。

酷い話だが、担当者によっては「異議を申し立てる=仕事増やしやがって」くらいに思われるかもしれないということである。

実際にどうやって異議を申し立てるかというと、窓口では本人と職員でまずは口頭でのヒアリングが行われる。離職理由に関する証拠が提出できれば、担当職員の判断で「異議申し立て書」を記入することになる。

異議申し立て書はその後の失業生活に大きく左右するものだが、職員にとっては失業者が生きようが死のうが関係ないため、「こんなふうに書け」と書くべき文面を指示してくる場合がある。

ただ、実際に会社に問い合わせたりするのは、会社所在地の別のきろーワーク担当者だったりもするので、あまり言われるがままに書く必要はない。じっくり、きちんと考えて書いた方がよい。証拠も必要ないと言われるかも知れないが、少しでも有利になりそうなものは添付するべきである。

支給対象かわからなくても説明会には行かないとならない

異議申し立てする前までのイメージだと、その場で会社に電話してくれてその場で結果がわかるようなのをイメージしていたが、収入が途絶えた失業者には途轍もなく長い時間がかかる。

そもそも、離職票が手に入るまでに離職から数週間はかかっているはずで、そこからさらに異議を申し立てるのである。こんなに時間がかかるのは、もはやセーフティネットと呼べるものではない。

異議申し立て書に記入すると時間が相当かかることを見込んでか、異議申し立てが通ったことを前提に雇用保険の説明会に参加するようにと、通常通りの受給者のしおりを渡される。そして、支給されるかどうかわからないながらも雇用保険説明会に行くことになる。

派遣で働くと何度も説明会に行くことになるが、内容なんて20年以上前から大した変わっていないが、1時間くらいはみっちりパイプ椅子に座りながら説明を受けることになる。

待ち時間を減らすための配慮だとは言え、受給できるかどうかわからないのに説明会にまで行くのはかなりアレだが、そういうものらしい。

会社側から返答があるまで3週間~1か月くらいは時間がかかる

さて、失業給付の受給になれるかどうかわからないまま説明会に参加すると、その場では「仮」と書かれた受給者資格証が貰える。

給与未経産の場合も「仮」で発行されるが、はっきり言って離職理由の異議申し立てで「仮」の場合は、どっちに転ぶかわかったものではない。例え、ポンコツな職員が「ゼロではないけれど」みたいなことを言っていても、彼らは失業者が生きようが死のうが知ったことではないから、そのゼロの方に転ぶことだってあり得るのだ。

全てのケースを知っているわけではないけれど、会社側にも国から助成金を鷲掴みするという強い目的意識があって自己都合にしてきているのだから相手も必死なのである。

失業者からすると、1日でも1時間でも早く進捗を知りたいところだが、お役所仕事なので亀のように遅い。

異議申し立てをしてから早くて3週間、人によっては1か月や2か月かかる場合もあるだろう。なんでこんなに時間がかかるかは、お役所仕事だからとしか言えない。

支給決定になるまでは一切支給されない

会社側の一方的な言い分や国からの助成金欲しさに離職理由を自己都合に捏造してきた場合、異議を申し立てることはできるが1か月以上もの途方もない時間がかかる。

その間にも遠方に受給説明会に行くように案内されたり、初回の認定日が来たりもするだろう。

ただ、受給資格者証に「仮」と書いてある以上は一切支給されることはない。仮で支給されることもないので、労働者の生活を守るはずの雇用保険というのは、実は会社側に有利にできていることがわかる。

2か月以上待たされた場合は、後から離職理由が覆った時にまとめて振り込まれるようだけど、会社側が認めなかった場合は覆ることがないため、時間だけが無駄となる。

会社側が認めないと離職理由は覆らない

離職理由はハローワークが判断することにはなっているが、ハローワークの職員いわく、会社側が変更を認めないと覆ることはないらしい。

なぜなら、離職理由を変える場合は会社が手間暇かけて離職票を修正したり作り直さないとならないためである。

あなたが一番知っているだろうが、嘘の離職理由を捏造してくるようなブラック会社が容易に作り直してくれるとは考えにくいだろう。

ハローワーク職員の基本は自分の仕事を増やしたくない

中には親身に対応する職員というのもいるのかもしれないけれど、個人的には雇用保険関係でそんな職員に当たったことはあまりない。

やっつけ仕事としか思えない働きぶりの職員もいるし、失業者を見下す態度の職員さえいるだろう。

会社都合や自己都合以外では、パワハラによる正当な退職という離職区分もあるが、パワハラを理由とするには2人ぶんの証言が必要になったり、パワハラで追い詰められて退職する人には相当にハードルが高いものになっている。

ヨーロッパなどの先進国に比べると、世界一、雇用不安定な派遣社員が多い国だというのに、日本の失業給付や職業訓練の制度はショボいと言われる。

異議申し立てをするなら、基本的な心の持ち方として、失業給付の窓口の対応もショボいと思って取り組んだ方がよいだろう。

派遣社員が確実に会社都合で離職する方法

派遣社員の場合は正確には特定理由離職者というのが会社都合的な離職である。

派遣切りなどが該当するが、単に契約満了では確実に特定理由離職者になるとは限らないのが難しいところ。

結局のところ、派遣会社が国の人材事業を請け負っていたり、助成金を重視していると自己都合退職にされるから注意が必要である。

あなたの派遣会社が助成金を貰っているかどうかは「派遣会社名 助成金」などで検索すると大体わかる。国や自治体の事業などの絡みがある場合は、隙あらば自己都合にさせたがる派遣会社であると言える。

なので、助成金が大好きな派遣会社の場合は、確実に派遣社員が特定理由離職者として離職できる方法はないのだ。

助成金を気にしない派遣会社の場合は、離職時に「今後の仕事紹介を希望するかどうか」というアンケートがあったりして、そこをポチっとするだけで特定理由離職者としての離職になったりする。全部の派遣会社がこうだといいが、残念ながらそうはなっていない。

離職理由を覆すのは難しいので、できるだけ希望するような離職理由を書いて貰えるように在職中から気を使うことも大事だろう。

基本的には下記の事項がヒントにはなる。口頭だと証拠に使いにくいので、メールなど文書がよい。

・現職の更新を希望(時給が上がればとか、業務内容がどうの、とかいったん余計なことは書かない)

・更新てぎなぃ場合は他の仕事の紹介を希望

・契約満了まで有給を使ってもいいから期間を全うする

悪質な会社の場合は組織ぐるみで助成金のために、あの手この手で自己都合にしてくるのと、失業給付の担当者というのは想像以上に失業者に親身ではないので、自己都合と書かれないことがまず大事である。

書類を申請した会社の担当者がボンクラで単に間違っていた場合はともかく、明確な目的をもって自己都合にしている場合は覆すのが困難で時間と精神だけ無駄にすると思った方がよい場合もあるだろう。