なぜ派遣同士に上下関係が生まれる? ヒエラルキーに汚染された派遣の職場の実態

派遣と正社員の間にヒエラルキーがあることは、制度の前提として受け入れざるを得ない。
しかし、より厄介なのは、派遣同士の間にも階層意識が存在していることだ。契約期間、通勤距離、派遣元の規模、担当工程の違い。どれも本質的にはどうでもいいことなのに、現場では妙に重く扱われる。
目次
勤務期間の長さで派遣の序列が決まる
新人、先輩、古参という契約期間の長短で、派遣同士の序列が決まる。
半年働けば先輩、一年続けば古参。ただ契約が切られていないというだけなのに、書き換えようのない階層構造が生まれる要因となる。契約期間が長いという事実は、能力の差を直接的に表すわけではないことに注意が必要だ。
長期派遣と短期派遣という線引き
長期派遣は派遣という仕事に腰を据えている人、短期派遣は腰掛けの人というラベリングが派遣同士で行われる。
だが、長期派遣が安定しているわけでも、短期派遣が腰掛け感覚なわけでもない。派遣先の都合でそうなっているだけで、実際には長期派遣の方が派遣先からの要求が厳しくて、短期派遣より先に契約終了になることもある。どちらも使い捨てにすぎないことに留意しなくてはならない。
上流工程と下流工程という職種による階層化
同じ派遣先にいる派遣同士であっても、上流工程は頭を使う仕事、下流工程は手を動かす現場仕事というステレオタイプがそのままヒエラルキーに転化する。
役割が違うだけなのに上下関係が生まれる。上流工程の雇用が安定しているわけでも、下流工程が切られやすいわけでもない。それでも、役割の違いが上下関係に変換されてしまうあたりに、派遣という不安定な働き方の本質がよく表れている。
通勤距離でマウンティングするギャグの領域
派遣先の近くに住んでいる派遣と、遠くに住んでいる派遣。派遣の職場では通勤距離もヒエラルキーの材料になる。
近くに住んでいるから心理的な距離も近いとマウントする派遣がいる。遠くから来ているから派遣の仕事に本気で向き合っているとマウントする派遣もいる。どちらも能力とは無関係であるが、こうした“どうでもいい差”が派遣の世界ではヒエラルキーの材料になることがある。
派遣元が大手か中小かという階層
派遣元が大手だと上で、中小だと低いという、ブランド意識によるヒエラルキーが派遣同士の間にはある。
だが、派遣元の規模が大きくても派遣先での扱いが良くなるわけでもないし、むしろ大手のほうが代わりの候補者がいくらでもいるぶん、雑に扱われることも少なくない。それでも、派遣同士の間ではブランド意識がヒエラルキーを生む。
人間の心理がくだらない差を階級に変える
派遣同士のヒエラルキーは、制度による問題であると同時に、人間の心理から生まれるものだとも言える。不安定な立場に置かれたとき、人は自分より下を探して安心しようとする。その心理がくだらない差を階層化してしまう。
しかし、本来必要なのは上下関係ではなく横の繋がりだ。派遣という働き方が不安定であるほど、支え合う関係のほうが価値を持つ。くだらないヒエラルキーにエネルギーを浪費するより、同じ場所で働く者同士として、少しでも軽やかに生きられる道を探したほうが有益であることは間違いない。
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