「月給制の派遣」は本当に得なのか? 裏側に隠された罠と派遣会社が得する構造を解説

一部の派遣会社が導入している月給制の派遣は、一見すると給料が安定していて得する仕組みのように思える。
時給制だと正月やゴールデンウイークなど、稼働日が少ない月は手取りが大幅に下がるが、月給制だと勤務日数に関わらず固定。「毎月の収入が安定していて良さそう」「時給制より生活が組み立てやすい」というイメージを持つ人は多いかもしれない。
しかし、「月給制の派遣」という制度の中身を丁寧に分解していくと、メリットの裏側には派遣会社にとって都合の良い構造がしっかりと組み込まれていることが分かる。
目次
月給制派遣の基本構造
月給制の派遣は、多くの正社員などと同じく、月単位で給与が固定され、祝日が多くても少なくても同じ金額が支払われる仕組みである。
だが、実はこの「固定」という仕組みこそが、派遣会社にとって都合が良いものとなっている。誤解されやすいポイントだが、派遣会社から派遣先への請求は、月給制であっても時間単位のままであることが多く、派遣先は「派遣社員が働いた時間×時間単価」で支払い、残業があればその分の割増単価を支払う。
つまり、派遣社員の給与が月給制であっても、派遣会社の売上は完全に時間売りで成立している。
罠1 契約時間が7時間でも8時間までは残業代が出ない
例えば、1日7時間契約の派遣社員が毎日1時間残業して、計8時間働いていたとする。この「契約時間を超えた1時間」は、時給制で働いていた派遣社員の感覚からすると完璧に「残業」に思えるが、法律上はまだ法定労働時間内(1日8時間)の労働に分類される。
時給制ならこの1時間は追加で時給が支払われるが、月給制の場合は固定の給料に含まれている労働時間であり、追加で賃金が支払われない契約も存在する。一方、派遣会社は派遣先に対しては、派遣社員が実際に稼働した8時間分の派遣料を請求するため、この1時間分の差益は、派遣会社にとってはおいしいという構造である。
罠2 祝日の少ない月ほど働き損になる
月給制の派遣では派遣社員の給与は「月給」として固定されているため、稼働日が多い月でも少ない月でも支給額は同じだ。ここまでは「安定していて良さそう」に見える。
しかし、この固定が働き損を生む。例えば、祝日の少ない3月や6月などは自然と稼働日が増える。こうした月は、派遣社員の勤務日数が増えるにも関わらず、給料は一切増えない。つまり、働いた日が増えているのに、手取りは変わらない。
罠3 欠勤すれば給料が減る「日給月給制」の場合もある
月給制の契約でも、欠勤したらその日の分が引かれる「日給月給制」というケースもある。
つまり、月単位で固定されているように見えて、実際には日給制という罠だ。病気や怪我で休めば普通に給料が減るため、「安定しているように見えて、実は全く安定していない」ということもある。
月給制派遣は派遣会社が得しやすい構造だから導入される
月給制の派遣は、派遣社員にとってメリットがあるように思える。
しかし、仕組みを細かく分解していくと、派遣会社にとってのメリットの方が大きい。稼働日の多い月でも派遣社員への支払いが増えず、派遣先への請求は実際の稼働ベースで確実に確保でき、法定時間内の残業代も支払わずに済む。さらに、日給月給制の契約にすれば、派遣社員が欠勤した日に給与を支払わなくて済むのだから、なんのリスクもない。
つまり「月給制派遣」の裏側には、派遣会社が確実に儲かる構造がしっかりと組み込まれている。
実際には個別の契約内容や、派遣会社ごとに運用しているルールが紹介した例と違う場合もあるだろうが、月給制の派遣を選ぶときは、契約時間、残業の扱い、欠勤控除の有無を丁寧に確認することが損しない働き方に繋がるだろう。
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