軽作業の派遣で見かけた“反面教師たち”の姿 ~スキル不要の職場に長くいると人はこうなる~

派遣労働と一口に言っても、オフィスワークや専門職、単純作業や肉体労働までと幅は広い。

だが、ホコリまみれの倉庫や工場での軽作業、いわゆる“スキルが積み上がらない低賃金派遣”の現場には、独特の空気がある。そこでは、派遣社員自身が自分の人生を振り返り、「なぜ自分はここにいるのか」と自己批判せざるを得ないような人々が集まっている。

筆者も“繋ぎ”として短期間だけ働いたことがあるが、そこで出会った人たちのキャラクターは強烈だった。まさに「こうはなりたくない」と強く思わせる存在だったのである。以下、反面教師として記憶に残った人物たちをありのままに紹介する。

「アピールが嫌いなんだよね」とアピールする中年

現場で最も長く働くリーダー格の派遣社員。だが、そのリーダー性は、単に長く居座った結果でしかない。

本人は「面接とか履歴書とか、とにかくアピールが嫌いだから転職しない」と語るが、その言葉自体が最大のアピールになっている。実際は変化を恐れているだけなのに、それを美学にすり替えている。低賃金の単純作業を好むのも、挑戦しない理由を正当化するためだ。こうしたタイプは、人生を停滞させる思考の典型例として反面教師にすべき存在だ。

何かあれば「正社員に言うぞ」と脅す先輩派遣

新人や後輩のちょっとした言動や仕事の仕方が気に入らないと「〇〇さん(正社員)に言うからね」が口癖。

小学生の「先生に言うぞ」と同じ構造だが、本人は正義感だと思い込んでいる。実際は自分にスキルもキャリアも何もないため、権力者に取り入ることでしか存在価値を保てない。自分自身を直視せず、他人を下げることでしか立場を確保できない姿は、まさに反面教師そのものだ。

「マンションを買った」が口癖の時給千円で働くオジ

倉庫などの単純労働の現場には、明らかに「元はまともな会社にいた」と分かるオジサンが紛れ込んでいることがある。

筆者が出会ったその人は、開口一番「都内にマンションを買ったんだよ」と誇らしげに語り始めた。だが、彼が今やっているのは時給千円程度の軽作業で、段ボールを運びながら「体を動かす仕事をしてみたかったんだよね」と言う。どう見てもリストラされたか、会社を辞めざるを得なかった事情が透けて見えるのに、本人はそれを認めようとしない。

むしろ「自分で選んだ道だ」と言い張ることで、プライドを守っているように見えた。だが、現実は厳しい。都内のマンションを維持するには到底足りない収入だが、生活のために働いているのは明らかだ。こうしたタイプは、過去の栄光にしがみつきながら現実を直視できず、プライドと生活のギャップに苦しむ典型例である。自分の人生を誤魔化し続ける姿は、まさに反面教師として強烈に記憶に残る。

牛丼屋の常連である人たち

現場では威張り散らすのに、昼食は毎日牛丼屋。注文はいつも同じで、みそ汁をつけるかどうかで数分悩む。

本人は「金はあるけどあえて牛丼なんだよ」と言うが、実際は選択肢がないだけ。職場でだけ強がり、外に出れば静かに並ぶ。そのギャップは哀愁を通り越して、人生の縮図のように見える。こうした虚勢の張り方も、反面教師として学ぶべきポイントだ。

その他の“現場あるある”反面教師たち

「社員より俺のほうが仕事できる」と言い続けるのに転職はしない人。理由は簡単で、できるのは今の単純作業だけだからだ。「派遣は気楽でいいよ」と言いながら誰よりも愚痴が多い人。気楽なら黙って働けばいいのに、実際は不満だらけ。「本気出してないだけ」と言い続ける永遠の中二病。本気を出したら出来ない自分が露呈するから、永遠に本気を出さないらしい。

低賃金派遣の現場には、社会の犠牲者であると同時に、自分の選択の犠牲者でもある人々が集まる。彼らの生き方は、制度の問題を映し出す一方で、自分の人生をどう扱うべきかを考えさせる鏡にもなる。筆者が短期間で抜け出したのは、あの環境に長くいると思考まで倉庫化してしまうと感じたからだ。

そこで出会った人々は、今でも強烈な反面教師として記憶に残っている。

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