派遣と契約社員はどちらが得? 給与の仕組みから読み解く損益分岐点と地雷除去ポイント

働き方を選ぶとき、派遣と契約社員のどちらが得なのかは、多くの人が一度は悩むテーマだ。
どちらも契約期間が決められている有期雇用ではあるが、求人を見ると契約社員の給料は、派遣より高く見えることが多い。しかし、その数字をそのまま信じてしまうと、実際の働き方や収入とのギャップに後から気づくことになる。
特に「みなし残業」が含まれている契約社員の求人は、表面上の月給と実質の時給が大きく乖離することがある。ここでは給与の仕組みを丁寧に読み解きながら、地雷を避けるための視点を整理していく。
目次
月給の見た目の高さに惑わされると本質を見失う
契約社員の求人は、月給が一見高く設定されていることが多い。数字だけを見ると派遣より魅力的に見えるが、その金額の中にみなし残業が含まれている場合、実際の時給は大きく下がる。
例えば、月給が30万円を超えていても、みなし残業が40時間設定されている場合、毎日2時間前後の残業が発生することを前提とした求人であることを意味している。つまり、残業をしない残業込みで、ようやくその金額に達するという構造だ。
一方、派遣は一般的に時給制で、働いた時間がそのまま収入に反映される。時給が2000円であれば、残業をしなくても1日8時間かつ週5日勤務のフルタイムなら、月32万円前後の収入になるし、残業が発生すれば、その分は必ず追加で支払われる。時間ベースで言うと、みなし残業代込みの契約社員より高い計算になる。
みなし残業が多い契約社員は実質の基本給が低いことがある
みなし残業が多い契約社員の求人では、月給のうち、かなりの割合が残業代として計上されている。
例えば、月給32万円のうち8万円以上がみなし残業というケースも珍しくない。この場合、実質的な基本給は24万円前後になる。つまり、月給の数字だけを見ると高く見えても、実際には派遣の時給2000円と同等か、それ以下の時間単価になることがある。
さらに、みなし残業の時間を超えない限り、どれだけ忙しくても追加の残業代は発生しない。残業が常態化している職場であるほど、契約社員の実質時給は下がっていく。
働き方の自由度は派遣のほうが高いことが多い
契約社員は企業の内部に入り込む働き方になるため、会議や調整業務が増えやすく、定時で帰りづらく、残業を断りにくい空気が生まれやすい。みなし残業が多い企業ほど、残業が当たり前として扱われる傾向が強く、働き方の自由度は低くなる。
派遣の場合は、業務範囲や勤務時間が契約で明確に決まっているため、余計な業務を押し付けられにくい。残業の有無も事前に取り決められていることが多く、働き方のコントロールがしやすい。リモートワークの割合や有休の取得も、派遣のほうが調整しやすい傾向がある。
結局、どちらが得なのかは給与構造で決まる
派遣と契約社員のどちらが得かは、見かけの数字ではなく、給与の構造をどう読み解くかで決まる。
みなし残業が多い契約社員は、実質の時給が派遣より低くなることが普通にある。逆に、みなし残業が少なく、基本給が高く、働き方の自由度が確保されている契約社員であれば、派遣より得になるケースもある。
つまり、損益分岐点は「給与の額面」だけではなく、「残業の前提」「基本給の実質」「働き方の自由度」という三つの要素で決まる。ここを見誤ると、月給が高く見える契約社員のほうが、実際には派遣よりも時間単価が低く、負荷が高く、自由度が低いという状況に陥りやすい。
自分の働き方に合う選択をするために
働き方の優先順位は人によって違う。自由度を重視する人、時間単価を重視する人、キャリアの積み上げを重視する人。それぞれに合う働き方がある。ただし、残業を避けたい、リモートを増やしたい、業務範囲を明確にしたいという人にとっては、派遣のほうが相性が良いことが多い。
契約社員は企業の内部に深く関わる分、責任や負荷が派遣よりも増えやすい。さらに、みなし残業が多い場合では、働き方そのものが残業前提で設計されていることも珍しくない。自分の生活リズムや価値観と照らし合わせて、どちらが本当に自分に合っているのかを見極めることが大切だ。
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