もう令和なのに未だにある『正社員神話』を派遣の方がマシだと15分で論破してみる

令和も3年目に入った今日日。かつて、この国の高度経済成長期には正社員神話なるものがあった。

正社員と対比する労働のスタイルとして「非正規」と言う呼び方をしているものがある。派遣社員などのことだ。この呼び方がナンセンスで差別的だから「どうなのよ?」といつも思うわけだが、字面だけから判断すると正社員の方こそが正しいものだと誤解してしまう。

だからなのかは知らないが、令和3年目でも正社員こそ正しい道だ!と勘違いしてしまう若い人も多いようなので、実際のところは派遣の方がマシなことが多いと論破してみることにした。

正社員はそれほどいいものじゃない

こういう派遣の情報サイトなんかを運営していると「正社員への繋ぎとして派遣をやろうと思うけれどアドバイスしてほしい」というような、まるで正社員こそ正しい道だ!というような趣旨の相談を受けることがある。

そもそもの間違いなのだが、正社員はイメージほど良いものではない。正社員の仕事を複数社で経験したことがあるが、いずれも中小企業だからというのもあるかもしれないものの、個人的にはそんなに良いものではなかったのだ。

正社員は会社からの束縛が凄い

派遣社員は一般的に時給労働である。契約時間外は仕事や会社のことに関わる必要がないし、面倒でどうしようもないような、休日の社員総出のイベントなんかも参加しなくて良いのが普通。

ところが、正社員だと業種や職種などによっては、休日に突発的なイベントが行われて強制的に参加しないとならない。一見すると平日勤務のホワイトカラーの仕事だから、休日労働なんかなさそうと思える仕事でも、業界の展示会だとか、取引先のイベントの応援だとかに駆り出されることがよくある。

ちょっとでも嫌な顔をすると「あいつはウチの仕事に向いていない」だの「やる気がない」だの、あることないこと言われて会社にいづらくなってしまう。村社会そのものの中小企業なんかだとイジメやパワハラが行われて退職勧奨されてしまう。

派遣と違って契約期間の区切りがないとは言っても、実は正社員の仕事というのは言うほど安定していないのだ。派遣にはないトラップがいっぱいある。

派遣より給料が安い場合もある

特別なケースを言っているわけではない。ITやWeb系なんかの専門職では顕著だが、正社員は安定をエサにしているだけあって、むしろ派遣社員の方が時間当たりの給料が高い場合が結構な割合で多い。

ホテルと賃貸住宅(アパートやマンションとか)で考えて欲しいが、一般的には1泊単位で料金を払うホテルに1カ月滞在するよりも、アパートやマンションを借りて住んだ方が1カ月あたりの料金が安い。同じ理屈で派遣社員の場合は契約期間ごとの雇用のため、正社員よりも高めの時給が設定されていることも少なくないのだ。

契約期間のない正社員は企業からすると「労働力のまとめ買い」であって、時間当たりの給料は大した高くない場合も多い。

筆者の実際の例だと、東京都千代田区にある某中小企業の正社員だった頃は、年俸制という不思議な残業代込みの契約だったが、どれだけ残業しようと年収は250万円固定だった。ところが、その後に派遣社員に転職したら年収は400万円くらいにアップ。残業しなくてもこの金額である。

正社員のステータスなんてものがあるのか知らないが、年収250万円の暮らすだけで精一杯のカツカツの生活と、好きなモノがそれなりに買える程度の自由がある年収400万円の派遣だったら、後者の方がよっぽど人間的で文化的である。

年収250万円の正社員だった時は、ランチがメロンパン1個だったりするのもザラだった。会社の雑居ビルの裏にある路地裏で食べたものである。有名店のメロンパンとかではなくて、前日の夜にスーパーで半額50円で買ったメロンパンで過ごす毎日だった。

正社員時代は休日のイベントに無給で駆り出されることもあったので、経済的な余裕だけでなく、肉体的な余裕もほとんどなかった。メロンパンしか食べられないような正社員という無茶苦茶な雇用形態に、なぜ憧れる人がいるのか疑問なのである。

派遣は副業や自分のビジネスが自由にできる

今でこそ、正社員にも一部で副業が認められるようにはなってきた。それでも同業界はダメだとか、色々な制限が多いのが普通。

派遣の場合はどうかというと、元々そういった拘束がなかった。業務に支障がない限りは原則的に自由。副業に関して何か言われた試しはない。

ところが、正社員だと月給18万円の零細企業の仕事ですら、明確に副業が禁止されていたりする。

いつ潰れるかもわからず、いつ退職したくなるかもわからないというダブルパンチの零細企業の仕事で「そりゃないだろう~」と思うが、昔、そういった会社の正社員の仕事に応募した時に面接で副業について質問したら、自宅でやるようなネット関係の仕事すらダメだと言われて閉口したものだった。

プライベートの時間ですら拘束される正社員は、もはや奴隷というイメージしかない。

まとめ 正社員神話は過去の産物

派遣をやりながら正社員を目指しています~という話はよく耳にするけれど、言うほど良いものではないのが正社員の実際である。

正社員の「正しい」という漢字と、非正規の「非(正しくない、という意味)」という漢字が影響している気がするが、正社員と派遣を天秤にかけると、派遣の方がまだ自由があって収入もそこそこあって、いくぶんかマシだというのが筆者の答え。

もちろん、正社員も派遣もピンキリなのは大前提。素晴らしい正社員もあれば、とんでもない派遣もある。それでも平均すると派遣の方がマシじゃないかというのが経験から言えることだ。

そもそも正社員の終身雇用も崩壊しているだけに、昔話に影響されて盲目的に憧れるのだけは止した方が身のためだろう。天秤にかけてみても損はしない。

・・・と、派遣会社のステマ記事と勘違いされそうだけど(もちろん違うよ笑)、盲目的に正社員が最高!と思っている人に世の中にはこんな正社員もあるんだよ!という小話をお送りした。