【年金】知らなかったでは済まない派遣社員における年金制度の落とし穴

日本に「国民皆年金」が導入されるのは1961年からで、現在は基本的に20歳になると全員加入することになっているが、日本の年金制度は元々、欧米に追い付くために明治時代初期の「富国強兵策」がとられていた時代に、軍人と官吏のみに与えられた特権的な制度だったという。

その後も公務員が先行して年金制度が整備され、民間初として導入されたのは戦時中の軍需工場などで働く労働者からであった。

このような歴史的経緯があるからかは定かではないが、現在でも公務員が優遇傾向にあり、次に会社員、最後が自営業者などの会社員以外の者となる。

国民年金と厚生年金の支給額はこんなにも違う

3か月更新など長期前提の派遣であれば、まともな派遣会社であれば、正社員などと同様に即日で厚生年金に加入することができる。

厚生年金は収入に応じて毎月の支払いが変動するが、ざっくり言うと、月収30万円くらいの見込みだと月3万円くらいの支払額となる。

これを負担と考えてしまう場合もあるかもしれないが、40年間も1万6千円以上も払い続けても、たった月6万円程度しか貰えない国民年金だけでは普通の人は、おいそれとは暮らしていけないはず。

厚生年金だと現役時代の収入によって変動するが、月3万円くらいを40年くらい払い続けていた場合は月12万円くらいになる。これなら切り詰めれば何とかぎりぎり暮らしていけるくらいにはなるかもしれない。

いや、12万円くらいだと持ち家で家賃負担がなければまぁまぁ暮らせるけど、都市部の賃貸で家賃を払いながらだと本当にギリギリ過ぎる暮らしだとは思うが、比較的優遇される厚生年金でさえ、この程度なのである。

派遣社員も正社員同様に厚生年金に入れるが・・・

派遣社員の場合、契約が有効で働いている期間については正社員同様に厚生年金に入れる。

しかし、契約満了などで退職すると厚生年金から脱退するため、“暮らしていけない”国民年金に切り替わる。

暮らしていけないとは言っても、事故などで重い障害を負った時に支給される障害年金もあるので、派遣を退職したらきちんと年金事務所や市役所などで切り替えの手続きはしなくてはならない。

派遣をやりつつ、老後にある程度まともな年金を受け取る場合は、なるべく途切れなく派遣で働き続けなければならない。

ちなみに、正社員はボーナスからも厚生年金を支払うが、派遣社員は通常はボーナスがないのでボーナス分の加算はない。

派遣切りなどで払うのが難しい場合は免除申請もできるが・・・

派遣を契約終了した場合、国民年金に加入することになるが、支払いが難しい場合は免除申請をすることができる。

退職を証明するような書類を用意すれば、大抵は全額免除が通るものの、将来の支給額は1/2として計算される。

あとから追納することもできるが、それほど大きな金額的メリットはないという考え方もある。

日本人の平均寿命はとてつもなく長い

派遣社員の短い雇用期間、雇用間隔を考えると、日本人の平均寿命とても長い。男性で80歳くらい、女性に至っては87歳くらいである。

人はいつまで働く必要があるのかわからないが、老後はとても長いように感じる。

年金が十分であっても他にやることがなくてパートなどで働いている高齢者もいるが、年金が最低限の生活費を下回る場合は働かざるを得ないのだろう。

現代日本で税金や医療費なども払わずに、完全な自給自足の生活をすることはできないので、日本で暮らしている限り、大なり小なり、お金がどうしても必要になる。

派遣で働いていると3か月後の雇用すら不明なので、数十年後の暮らしなど想像する余裕はないが、この事実を事前に知っているかどうかでも、将来を考える助けにはなるのではないかと思う。