【御社? 〇〇様?】派遣会社とやり取りする時の呼び方は何が適切? ケーススタディで考えてみた

今回は一般的な派遣に纏わるビジネスマナーのお話。とは言っても、堅苦しいものでも学術的なものでもなくて、あくまで実務上の話。

派遣で働いていたり、派遣で求職活動をしていると派遣会社の人と必ずやり取りすることになるが、派遣会社の呼び方について迷ってしまう人は多い。

そもそも、派遣社員という歪な雇用の立場もあって、派遣会社は身内なのか? 他社なのか? 10年以上も派遣で働いていても未だよくわからないという問題もある。

「(派遣会社名)+さん」がちょうどいいかも

結論を言うと、派遣会社の呼び方は「(派遣会社名)+さん」がバランスが取れていてちょうどいい。

「(派遣会社名)+様」だと召使い風で要求すべき時に要求しづらくなるし、登録スタッフであったり、雇用されている従業員だったりすると、身内とも言える存在に余所余所しい感じがする。様付けはやり過ぎと考えられる。

厳密な日本語としては間違っているけども

ところで、この「会社名+さん」という使い方は、日本のビジネスシーンをはじめとして、様々な場所で使われている一般的な表現なものの、国語の教科書的(NHK的とも)な日本語の使い方としては間違っている。

基本的に「さん」や「様」は人に対して使う敬称だからだ。法人である会社に対して「さん」や「様」を付けるのは用法として間違っているわけである。

ある調査によれば80&くらいの人は間違っていることは知っているし、間違っていることを知っていながらも実務上は「会社名+さん」という使い方をしているという。

歴史を遡れば間違いでもない

「会社名+さん」という表現は、古くは江戸時代などの商人の間でも使われていたという。「〇〇屋」というような商店の店主を指して「〇〇さん」と呼んでいたそうである。あくまでの「〇〇社に所属する誰々さん」という解釈であって、「会社名+さん」のルーツはここにありそうだ。

そんなに昔から使っている日本語だったら、もはや正式な日本語に昇格させてあげれば・・・と個人的には思うけども、そう間違っている表現ではない気がする。

派遣先も〇〇さんくらいが無難

とりあえず派遣会社の呼び方は何となく解決したとして、もう一つの問題が残っている。そう、派遣先企業のことを何と呼ぶべきなのが適切か考えてみよう。

こちらはケースバスケースで、むしろ派遣会社より難しい。

業務委託やフリーランスとして関わるならクライアントであるが、派遣の場合は実務上は派遣会社に雇用されていようと、派遣先企業の組織図の中に名前が刻まれる場合がほとんど。会社や職種によっては派遣先名が入った名刺を作って貰えるし、この手の名刺が派遣会社名であることはまずない。

つまり、派遣社員は派遣先での就業においては、派遣先企業の所属従業員として振る舞うのが適切なのである。社外とやりとりする仕事だったら「弊社」と呼ぶだろうし、頭がこんがらがってしまうそうだ。

とは言っても、派遣先に直雇用されている正社員や契約社員とは壁があるし、外部の会社に雇われている立場でもある。このあたりの温度感は派遣先の文化によって大きく異なるが、グループ企業間でも派遣の場合は、かなり身内に近い扱いになる場合もある。

状況に合わせてケースバイケースで対応するのが良いが、迷ったら「〇〇さん」くらいの緩め敬称を付けておけば良いだろう。

まとめ やっぱ「(会社名)+さん」が万能

厳密な日本語としてはダメだという指摘もあるけども、よほど言葉の使い方に厳密な職場以外では「(会社名)+さん」で切り抜けるのが派遣の世渡りとして賢いと言える。

派遣会社名を呼び捨てにする場合もあるが、退職目前くらいならまだしも、契約中なんかでは良好なコミュニケーションが取れる関係性に越したことはないので、それなりに敬った方が得をする場合が多い。

求職中の応募前後はビジネスマナーのスキルアピールとして、御社(話し言葉)や貴社(書き言葉)、「(派遣会社名)+様」なんかを使い、就業以降は「さん」を付けておくのが良さそうだ。職場文化にもよるので、使い分ける柔軟さも要求されたりと日本語は厄介だ。