月の途中から勤務開始するのはデメリットだらけ!? 開始日は各月1日からが一番得する理由

派遣の場合、派遣会社から紹介を受けるタイミングや顔合わせと呼ばれる事前面接などのスケジュールによっては、「さっそく来週から勤務をお願いします」などと言われて月の途中から就業開始するケースも多い。

派遣先がブラック過ぎて前任者が急に辞めた場合などでは、派遣先が就業を急いでいたりする。よほど上手い理由を作らない限りは、待ってくれても1~2週間程度が限界なのが派遣就業の“あるある”だ。

もちろん、自分も前任者も在職中で、派遣先が余裕を持って後任者を探している場合は待ってくれる場合もあるが、正社員みたいに1~2カ月も待ってくれることはほぼない。基本的に派遣は就業開始日の融通が利きづらいのだ。

月の途中から就業開始する場合のモデルケース

例えば、3月15日に顔合わせをしたとする。3日後に顔合わせという名の事前面接に合格したと派遣会社から連絡があった場合、書類手続きや派遣先で受け入れ準備などが行われる。大手企業などでは、IDカードを作ったり、PCや社内アカウントの発行などをするので平均的には1週間くらい時間がかかる。

となると、実際に就業開始できるのは3月25日くらいが最短になるのだ。

顔合わせの場で「いつからでも働けます」などと意欲をアピールする場合もあるし、派遣先が即日勤務を希望していたりすると、なんとなーく自動的に3月25日から就業開始になってしまう。

しかし、これが本当にお得なのかどうか冷静に考える必要がある。しばらく収入がなかったりすると1日でも早く就業開始したいという気持ちもあるだろうが、実はこんな月末に就業開始するくらいだったら、4月1日開始にして貰った方が微妙に得をするのだ。

月の途中から就業開始すると社会保険料がエグいことになる

前述のように3月25日という月末もいいところで勤務開始すると、たった6日しかないのに社会保険料が丸1カ月分かかってしまうのだ。

社会保険周りの加入ルールは派遣会社にもよるが、大手派遣会社の場合は初日から健康保険も厚生年金に強制加入になる場合が多い。個別に交渉すれば初回契約では加入しないで済むこともあるかもしれないが、有無を言わされずに加入させられるのが基本。

「初日から社会保険に入れるのは病院にかかったりすることもあるし良いことなのでは?」と思う人もいるかもしれないが、なにも派遣会社の健康保険や厚生年金に入らなくとも、日本は国民皆保険の国。離職中の場合は減免が効くこともあり、派遣会社の健康保険よりも国民健康保険の方がずっと安いことが多い。年金もしかりで、失業中は減免が効くので、たった6日のために1カ月分フルに保険料を支払うのはバカくさいのだ。

派遣会社の健康保険や厚生年金は、時給によって平均的な金額というのが毎月固定がかかるのが一般的。時給2千円前後の仕事だとすると、毎月4万円以上もかかってしまうのだ。つまり、3月25日から勤務開始で土日など稼働しない日があったりすると、給料が保険料の支払いだけで消えてしまうことすらある。保険料が上回った場合は翌月の給料から引かれる事態となる。

雇用保険も入ってないのと同じ扱いになる場合も

派遣で働いていていると雇用保険は失業時にお世話になることが多いが、失業給付の経験者なら知っての通り、給付には一定の加入期間が必要。ざっくり言うと、派遣切りなど会社都合的な退職では6カ月以上、自己都合では12カ月以上の加入期間が必要だ。

雇用保険の加入期間の計算は独特のルールがあり、基本的には退職日の翌日から1カ月ごとに遡って計算する。

明らかに1つの派遣先で6カ月以上もしくは12カ月以上の勤務があれば、月の途中で勤務開始したことは特にデメリットにはならないが、派遣先がブラックだったりして2~3カ月で離職してしまった場合は、その中途半端な月については雇用保険の加入期間から抹消されてしまう場合がある。

どういうことかというと、失業給付で提出する離職票はブランク機関が1年以内の場合は複数社を合算できるものの、お役所仕事なので1日単位で合算してくれるほど親切ではない。

丸1カ月ぶんはないが半分以上は働いている勤務期間については、0.5カ月分として計算される場合もあるものの、5日や10日などの勤務期間については、雇用保険の加入期間の計算上ではなかったものとされてしまうのだ。

まとめ 月末ぎりぎりで働きだすのはデメリットが多い

引継ぎやなんらかの都合でどうしても月末ギリギリで就業開始しなければならないというケースを除けば、月末から働き出すのばデメリットが多い。

某大手派遣会社では事務手続きを簡素化するためか、毎月1日開始と月の後半の16日の案件に分かれていたりするが、月の途中から開始するにしても損しないのは~10日くらいまでだろう。

16日にもなると社会保険を払い過ぎる感じが強いし、雇用保険も加入していないのと同じような扱いになってしまう場合がある。

就業開始日は自由に選べないケースもあるが、もし選べるようであれば1日開始がベター。月の後半や月末ギリギリで開始するのは、かなり損する場合が多いと覚えておこう。