映画『ジュラシックパーク』は現代日本の派遣を使い捨てするブラック企業そっくりの社会派ドラマだった

画像は日本を食い潰し続けている派遣業界のイメージ

恐竜映画として一世を風靡した1993年公開の『ジュラシックパーク』という映画を観たことはあるだろうか?

今、30代~40代以上の方ならリアルタイムで映画館やテレビ放映でみたことがあるかもしれないだろう。DVDなどで観たことがある人も多いと思う。

公開当時としてはもちろん、今見てもリアルで自然に実写に溶け込んでいる恐竜のCGには驚かされるものである。

筆者は子供時代らリアルタイムで観た世代だが、最近DVDで観る機会があった。

そこで感じたひとは、当時は子供だったから恐竜にばかり注目していたものの、社会人になってから改めて鑑賞すると実は『ジュラシックパーク』という映画は、現代日本のブラック企業問題や日本経済そのもの、さらには日本の将来を食いつぶし続けている人材派遣業界の恐ろしさに警笛をならす社会派ドラマだったのだ。

なお、記事中には映画のネタバレがあるので未視聴の方は注意。

君はデニス・ネドリーを覚えているか?

『ジュラシックパーク』は観たことがあるものの、恐竜しか記憶に残っていないという人は、愛される悪役として映画ファンに支持されているというデニス・ネドリーという男を思い出して欲しい。

スナック菓子とコーラを愛する典型的なアメリカ映画で描かれがちな肥満体キャラである。

映画の物語冒頭では、このデニス・ネドリーが悪巧みを何者かに打ち合わせているシーンが描かれる。

デニス・ネドリーは開園準備中の恐竜テーマパークである『ジュラシックパーク』で働く凄腕エンジニアなのだが、パーク運営で肝となっている恐竜のDNA解析を並列処理のスーパーコンピュータを駆使して行い、パーク全体のセキュリティ管理なども携わっているものの、雇用主からは正当な評価をされていないことに日ごろから嫌気が注しているのである。

そのため、秘密裏にライバル会社へ長年の研究成果である恐竜の胚を盗み出して売却することを計画する。

そして、計画は実行される。彼一人にセキュリティ管理を任せたブラック企業だけに、厳重にセキュリティ管理されている場所に保管されていたはずの胚は、いとも簡単に持ち出されてしまう。

最終的にはデニス・ネドリーは逃走中に恐竜に食い殺されてしまうのだが、パークに大混乱を引き起こし、開園の計画を破綻されるに至るのだ。

デニス・ネドリーから学ぶべきこと

派遣でブラック派遣先で使い捨てとして働いたことがある人には、デニス・ネドリーに親近感や同情が沸くのではないだろうか?

スキルや仕事の成果が正当に評価されることがなく、仕事の成果のおいしい部分は全て正社員や経営者に搾取されてしまう。仕事の評価を給与などに反映して貰おうと交渉すれば、あることないのダメ出しのオンパレードで、まともに取り合っても貰えない。

不満や理不尽を抱えながら勤務を続ければ、3年経てば契約満了で退職しなくてはならない。稀に契約社員や無期雇用派遣に誘われることがあったとしても、生かさず殺さずの生殺しである。

輝かしい大企業の業績や、見かけだけの虚像の城である現代日本を支えているのは、派遣社員などの非正規労働者だ。

すでに世界一の超少子高齢化社会に突入した日本は、すでに手遅れと指摘する専門家もいる。非正規労働者を増やすことで延命してきた経済構造の末路とも言えるだろう。