派遣の時給が一見すると高いのは失業リスク込みの金額だから

日本には400万社くらい会社があるというから全てのケースではないと思うものの、一般的に派遣社員はパートやアルバイトより同じように見える仕事でも時給が1.5倍~最大で2倍くらい高い。会社によっては、似たような仕事をしている契約社員よりも時給(月給換算)が高いこともあるくらい。

当サイトのアンケートでも時給の高さを理由として派遣を選ぶ人は多いが、その金額は失業リスク込みのハイリスク・ハイリターンの現れとも言える。

派遣は3カ月ごとに失業と隣り合わせ

一般的に長期派遣と言われる派遣の仕事は、実のところ、3カ月単位の契約期間であることが多い。暗黙の了解では昔から3カ月以上の契約単位を持つ派遣を「長期派遣」と呼んでいる。これを繰り返して3年経過すると、法律の上限で半強制的に終了になる。

3カ月単位の契約とはどのようなものかというと、派遣先企業はどんな理由でも3カ月ごとに契約を解除することができる。いや、むしろ、継続する理由がない限りは3カ月以降の契約はその時点では存在していないと表現するのが正しい。

更新というより再契約

長期派遣として就業しているのだから、自動的に更新されるとタカをくくっていると痛い目に合ってしまうのが派遣である。

派遣先によっては独自に個人面談をして選別したり、部署や会社の業績や方針が変わることで人数を調整するなどの活動を行っている。予算のある大手企業でも人事異動などでそれまで派遣社員がやっていた仕事が正社員の仕事の一部になったり、外部の協力会社などにアウトソーシングされてしまうこともある。

そのため、どんなに従順な態度で完璧に仕事をこなしていようと、派遣社員であるからには3カ月ごとの失業リスクからは避けられないのだ。

失業したらまた紹介して貰えばいいという甘い考え

派遣会社の広告に踊らされたり、派遣で働いたことがない夢見る派遣ビギナーさんに多いのが、派遣が終了したらまた紹介して貰えばいいという甘い考え。

自身の経験上や周りの派遣経験者から話を聞く限り、派遣会社は登録直後こそ紹介を積極的にしてくれる傾向があるものの、例え本人に責任のない3年満了だろうと、次の派遣先を優先的に紹介してくれるようなことはない。

時給が下がったり、各種の条件が下がったものを申し分適度に紹介される程度なのが実情なのだ。

新たに希望に合った求人を扱っていそうな派遣会社が自分で探して、1からというかゼロから探さなくてはならない。派遣会社によって登録や紹介のプロセスは微妙に異なるので、直雇用の求人を探すのと大差ないほどの時間と労力を割くことになってしまう。

それなりに条件の良いものや経歴に合ったものを探そうとするなら、求人が多い首都圏だろうと数カ月以上の時間がかかるのは普通と思って良いだろう。失業給付の期間は十分ではなく、派遣で渡り歩こうなんて考えは、多くの人にとっては非常に甘い考えだと思う。

派遣会社はあなたの都合で良い求人をホイホイと紹介してくれるわけではないし、応募しても「ご縁があった時だけ連絡します」方式の派遣会社も多いのだから、いかに派遣で渡り歩くのがハイリスク・ハイリターン、いや、ハイリスク・ローリターンであるかを知っておかないとならない。

もちろん、世の中には例外や規格外のものは存在するので全てではないが、平均的には派遣で渡り歩くのはリスクが高くて非現実なのである。